建設業経理士と建設業経理事務士のいずれも建設業における経理の技能を認定した資格です。
建設業経理士は建設業に特化した簿記のプロとしての資格で、建設業経理事務士は建設業経理士の前段階の資格といえます。
いずれの資格も、建設業振興基金が検定試験を実施しており、4級から1級まで設けられた級位ごとの受験で合格することが必要です。
各級の難易度に応じて、簿記や関連法規の知識と経理処理の技能が問われ、1級と2級の合格者には建設業経理士、3級と4級の合格者には建設業経理事務士の資格が与えられ、その称号の違いと認定される技能水準の違いをあらわしています。
建設業経理士と建設業経理事務士の資格の意義
建設業に特化した簿記の資格は、平成18年以前は建設業経理事務士のみで、その技能のレベルによって1~4級に区分されていました。
平成18年の制度改正をうけ、1級と2級の検定合格者には建設業経理士の名称で資格が与えられ、3~4級はそれまでと同様の建設業経理事務士の名称が引き継がれています。
建設業経理士と建設業経理事務士の違いは、その資格に応じた知識や技能の違いであり、建設業経理士の企業内の在籍数は公共工事の入札要件に影響を与える資格となっています。
それほど建設業経理士に必要とされる業務内容は、建設業会計の特殊性を適切に処理する知識と技能が求められています。
建設業経理事務士の検定試験では、建設業会計の初心者のレベルの資格で、建設業経理士には、建設業簿記の知識と技能に加え会計学や原価計算、会社法などの関連法規の知識も問われます。
建設業経理士には、建設業に関わる会計のプロとして、建設業界はもちろんその他の一般企業においても簿記のプロとしての存在意義があります。
建設業における会計実務での建設業経理の存在
建設業において行われる会計実務には、企業の規模によっても違いがありますが、日常的な業務で発生する現金出納から銀行取引、有価証券の取り扱いといった財務管理から、財務諸表の作成に関係する処理まで、さまざまな業務内容が存在します。
工事現場ごとに行われる会計処理、それを集約するための管理部門の建設業特有の原価計算や財務諸表の作成や決算処理などの集約業務には、建設業経理士の存在が重要です。
日常の現金出納や銀行取引などの財務管理には、一般的な商業簿記の知識でも対応が可能で、建設業経理事務士も同様です。
各企業において、会計処理の難易度に対応が可能な職員が実際の実務にあたることが許され、会計書類の集約的な処理には、建設業特有の簿記の知識と技能に精通した建設業経理士の技能が必要とされます。
建設業経理士は建設業経理事務士の1級と2級と同義
建設業経理事務士には、4級から1級までの級位の資格が存在し、現在では3級と4級の資格者を建設業経理事務士とよび、1級と2級を建設業経理士とよんでいます。
建設業経理士と建設業経理事務士には、建設業会計の知識と技能の習得レベルの違いが認定されています。
建設業界で会計や経理の職種で仕事をしようとする場合には、建設業の会計の特殊性を理解して業務にあたるために、簿記の習得レベルにあわせた資格を取得することが、受験者と雇い入れる企業の両者にとってのメリットとなります。