建設業経理士の検定試験は、一般の業種で用いられる簿記や工業簿記の内容に建設業の特殊性を配慮した内容が加えられています。
建設業簿記は、日商簿記の商業簿記とほとんどが共通しています。
日商簿記は、商業簿記と工業簿記から成立しており、工業簿記の考え方と処理の方法が建設業簿記との共通点が多いと考えられます。
建設業簿記では、日商簿記で使用されない費目と考え方が使用される箇所が存在し、その特殊性のために、建設業経理士という資格が存在します。
建設業経理士と工業簿記の関連性
工業簿記は、製造業などに用いられる簿記のことで、製品を製造するための材料や設備、労働力の購入、製品の販売と利益の行動に関わる経営活動を記録するものです。
製造業においては、製品を販売するために製品を製造する必要があり、それにかかる原価を計算することが重要で、そのための原価計算が工業簿記では必要です。
建設業においても、構築物を作るための原価を管理して計算することは、製造業と共通しており、工業簿記の考え方に共通しています。
原価計算を行うことは、会計年度にあわせた損益計算書や貸借対照表といった財務諸表の作成のためにも必要不可欠で、その処理技能を認定したものが、建設業経理士の資格です。
工業簿記は、製品の原価を計算した結果に基づいて複式簿記のルールに従って帳簿が作成され、この両者には相関関係があります。
建設業経理士の検定試験で問われる工業簿記の内容
建設業においても、一般の製造業と同様、材料の仕入れから製品となる建物などの構造物の製造を行って施主に引き渡す業務形態がとられています。
製品の製造の存在のため、一般の製造業で用いられる工業簿記と共通した原価計算が建設業経理士にも求められる技能です。
建設業経理士の検定試験においても、財務諸表や原価計算の科目に工業簿記の知識が必要とされ、日商簿記の工業簿記と共通する内容があります。
日商簿記の工業簿記との共通点も多いものの、建設業簿記でしか使用されない費目などの存在もあり、建設業に特有の知識と処理を理解することが建設業経理士に求められます。
建設業経理士に求められる工業簿記の知識
建設業経理士は、建設業簿記の専門性をもつ認定を表す資格であり、その会計処理には工業簿記との共通点が多くみられます。
工業簿記は、日商簿記を構成する一つであり、一般の製造業での会計処理のためのものです。
建設業における簿記と工業簿記は、業務の流れが違うことと会計処理に使用する費目や用語の違いはありますが、考え方は共通しているといえます。