建設業経理事務士の資格の歴史

一般の業種に用いられる会計には、商業簿記と工業簿記がありますが、建設業ではこれらの簿記に使用されない勘定科目が使用されるなどの特殊性が存在します。

そのため、建設業に使用される建設業簿記は、その特殊性ゆえのルールと処理の均一化をはかるために、技能検定が実施されています。

建設業経理士検定試験は、昭和56年に創設された建設業経理事務士という資格の認定のために始まっています。

現在では、建設業経理事務士の資格は、建設業経理士と建設業経理事務士のふたつの名称に変更され、その級位によって称号が違っています。

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建設業経理事務士の創設までの経緯

建設業経理事務士の資格が創設されたのは、昭和56年ですが、創設に至るまでにも建設業の簿記に関わる歴史が存在しています。

昭和24年に、企業会計の共通ルールとするべく「企業会計原則」が公表され、この影響から建設業界においても「建設業法と建設業法施工規則」というものが制定されます。

これにより、登録申請書類への財務諸表の添付といった規則が追加されることなり、2年後の昭和26年には「建設業法施工規則」の一部修正により、建設業独自の財務諸表の使用が規定されます。

建設業において、独自の財務諸表の使用が規定されるには、決算の期間が一般の生産活動を行う企業と違い、工事期間が複数の決算期にわたることが最も大きな理由です。

しかも、建設業での公共工事の受注は、各企業の施工方法による工事の進捗が遅れることは社会的な経済損失があり、公共工事の受注業者の経営状態を公表することも目的となったためといえます。

建設業経理事務士の資格は昭和56年からですが、その必要性は昭和26年の「建設業法施工規則」の一部修正がその歴史の始まりとなっています。

建設業経理事務士の資格の誕生から現在までの歴史

建設業経理事務士の資格は、昭和56年に建設業経理基金が資格試験を作り、建設業界の自主的検定試験としてその歴史が始まっています。

昭和59年には、建設業の健全な発展のために有益であるこの資格に「建設大臣認定」というお墨付きを建設省が与えたことで、公的資格となります。

その後、平成6年には、公共工事を受注しようとする建設会社に「経営事項審査」の評点が求められるようになり、その審査項目に建設業経理事務士の在籍数が加点評価されることになります。

平成13年には、建設大臣認定が外されて民間資格となるものの、「経営事項審査」の評価対象としては継続されます。

さらに、平成18年には、建設業振興基金が国土交通省の登録経理試験の実施機関として認証され、建設業経理事務士の資格名称が、現在の建設業経理事務士と建設業経理士に区分され、現在でも検定試験は4級から1級の4段階で実施されています。

平成20年には、企業内の建設業経理士1級の有資格者が経理実務責任者として自主監査を行う場合、「経営事項審査」の加点評価の対象となります。

建設業経理事務士の資格には、以上のような歴史が積み重なり、建設業の健全な業務遂行のために制度変更を伴いながら、社会的信用の向上と発展に貢献しています。

建設業経理事務士の資格と企業会計の原則

建設業の会計年度と工事期間の関係から、一般企業に使用されている簿記会計とは違う独自の会計処理を行っています。

そのため、独自の会計制度の信頼性のために、昭和26年の「建設業法施工規則」の一部改正から、30年後の昭和56年から自主的検定試験の実施による建設業経理事務士の資格認定が始まります。

建設業経理事務士の資格は、その後の制度変更などの歴史を経て、現在では、4級と3級には建設業経理事務士、2級と1級には建設業経理士の資格が付与されています。

建設業経理事務士の存在は、他の一般企業と同様の企業会計の原則に基づいた会計処理の統一化と信用性の向上に貢献しています。

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