簿記や会計の資格といえば、日商簿記や全商簿記、税理士、公認会計士といったものが連想されますが、建設業経理士はそれほど知られておらず、マイナーな存在です。
職務を遂行するために必要な技能を証明するさまざまな資格がありますが、建設業に特化した建設業経理士の資格は役に立つのでしょうか?
建設業に関連する経理や会計処理では、一般的な商業簿記だけでは処理できない工業簿記の原価計算の内容が必要な点など、他の業種とは違った特殊性があります。
そのため、建設業経理士の資格は、建設業振興基金が実施する検定試験で認定され、建設業での経理に関する簿記のスペシャリストにあたり、建設業界内では役立つ資格です。
建設業経理士の資格保有者が役立つのは?
建設業経理士の資格を持つ人は、受注産業の特徴のために特殊な会計処理が必要な建設業の経理の知識や会計処理の技能を有しているため、建設会社への就職や転職の際には、役立つ資格となります。
また、1級から4級までに区分される建設業経理士の中でも、1級と2級の保有者は、公共工事の入札を行う際の「経営事項審査」の評価対象のひとつとなるため、建設会社にとっても、社内に有資格者を優先的に採用する傾向にあり、有資格者は会社にとっても役立つ存在になります。
特に、建設業経理士1級の資格保有者は、経営事項審査では税理士や公認会計士と同等の加点評価で扱われるため、重要な存在です。
つまり、建設業経理士は、資格を保有する本人と雇用する会社の双方にとって役立つと言えそうです。
建設業経理士の資格保有者の活躍の場所は、建設会社だけ?
建設業に関連した経理や会計処理の専門家としての建設業経理士の資格は、建設会社だけでなく、一般の企業や会社などでの経理や会計職でも重宝されるケースも多くあります。
税理士事務所や公認会計士事務所などの会計事務所では、クライアントによって建設業に特化した会計のスペシャリストとして建設業経理士の活躍の場が想定されます。
ただ、建設業経理士の資格だけで建設会社以外の企業や会社への就職、転職は求人が相対的に少ないため、一般的には役立つのかという疑問が生じます。
建設会社以外で建設業経理士の資格を活かすには、関連する日商簿記や宅地建物取引士などの資格も併せて取得しておくと将来的にも役立つと考えられます。
建設業経理士の資格は建設業界で最も役立つ!?
建設業経理士は、建設業界での経理や会計処理のスペシャリストということからも、建設会社を中心とした就職や転職の際に役立つ資格です。
その反面、建設業以外の一般企業や会計事務所などでは、簿記の知識や会計処理の技能を持っているものの、その特性を発揮する場面は、建設会社よりも少なくなります。
建設業界以外での将来性のためには、建設業経理士の資格に加えて、日商簿記や宅地建物取引士などの関連した資格取得を目指すのもオススメです。