一般的に簿記の公的資格といわれる日商簿記がありますが、建設業経理士も同様な扱いの資格といえます。
資格の検定試験を実施する機関が公的機関によって行われるものや大臣認定などの資格が、公的資格と呼ばれていましたが、現在では国家資格と民間資格の二種類になっています。
検定試験を実施する機関への天下りの問題などから、特定の省庁認定や大臣認定という肩書きがなくなったためです。
実質的には、公的資格の認定が廃止されており、その代わりとして登録試験や登録講習として残った資格が、現在の公的資格であり、建設業経理士もその一つです。
建設業経理士に制度変更される前の資格
平成13年以前は、現在の建設業経理士の1級と2級は、建設業経理事務士の1級と2級とよばれていて、建設大臣認定というお墨付きがついていました。
平成13年以降は、建設業経理事務士の資格は、それまで建設大臣の認定を受けた公的資格として存在していましたが、認定がなくなり純粋な民間資格となりました。
建設業経理事務士の資格は、建設業の健全性維持と社会的な重要性から、経営事項審査の評価対象とされることが継続されることとなった資格です。
その後、平成18年の制度改正に伴って、登録経理試験制度が作られ、現在の建設業経理士の1級と2級が国土交通省の登録経理試験として登録されたことで、資格の名称変更につながっています。
現在の建設業経理士の試験と資格
現在行われている建設業経理士の検定試験は、建設業振興基金が登録経理試験の実施機関として国土交通大臣の登録を受けて実施しています。
建設業経理士の資格は、建築士などの国家資格とは違い民間資格ですが、大臣登録を受けた実施機関の試験実施によって公的資格としての要件を保っています。
建設業が健全な業務遂行をするために適正な会計処理が必要であることや、建設業の簿記の特殊性による会計担当者の専門性の維持のために、建設業経理士の資格があります。
建設業者が公共工事を入札する際に、健全な工事と会計管理が可能であるための基準として、建設業経理士の在籍数も経営事項審査の評価対象とされることも、公的資格と考えられる理由です。
公的資格には、官僚の天下り問題に端を発した検定試験の実施機関の登録制度への変更が影響した結果です。
建設業経理士の公的資格としての意味
建設業経理士の資格は、建設業の健全な業務遂行と社会的な重要性から、建設業の特殊な簿記の知識や処理技能を認定した資格であり、登録経理試験の実施により、厳密には民間資格ですが、その資格の取り扱いは公的資格と同様です。
建設業経理士の資格取得は、取得者本人にとっても技能証明としての価値があり、就職や所属企業での実務評価の向上にもつながります。
資格取得者が建設会社に所属することは、会社にとっても公共工事入札の際の経営事項審査の評価点数に好影響が期待できますので有益な公的資格です。
建設業経理士の資格は、保有者と所属企業の両方に有益なものです。