建設業経理士の資格は、建設業に使用される会計業務の特殊性から認定される建設業の会計資格です。
その資格保有者の業界内での需要は、公共工事の受注の際の「経営事項審査」の評点向上の目的と、各企業の会計の信用度を向上させる意味があります。
建設業経理士の在籍数は、建設業界の動向や市場規模の推移にも左右され、今後も市場動向によって変化することが推測されます。
現状では、東北をはじめとした各地の震災による復興事業や東京オリンピックの開催を控えており、建設業界の需要は高くなっています。
建設業界の現状と市場規模の推移
ここ数年間は、2020年の東京オリンピックを控え大型再開発などが相次ぎ、大手建設会社を中心として業界全体としては活況だといえます。
2010年まで続いた建設業界の就業者数減少も底打ちの傾向がみられ、2010年以降は500万人程度の水準を維持しています。
大手ゼネコンの2017年の決算をみると過去最高益を更新しており、受注工事の利益改善と資材価格の安定が好影響となったと考えられます。
2017年の市場規模は、建設業界全体で約52兆円といわれていて、成長率も3.2%増となっています。
2000年に入って長く続いた建設業界の公共工事不況や業界再編にともなうリストラの影響も、2010年を境に業界の状況が変化しているといえます。
建設業界の今後の見通し
建設業界では、2020年の東京オリンピック以降の需要減が懸念されていましたが、老朽インフラの事故の発生や災害復旧の工事などの需要予測がなされています。
個人住宅関連に関しても、地方の古くなった住宅の改修や改築工事など、業界全体で需要が枯渇することは考えにくく、新たな需要の発生も期待されます。
その一方で、建設業界の仕事には、さまざまな専門性を必要とする職種が多く必要となり、その人材確保が問題となります。
建設や土木の工事現場に必要とされる人材の養成にはかなりの期間を要し、建設業経理士も工事現場の数に応じた在籍数が必要となります。
東京オリンピック以降も、建設業界において、都心部と地方での需要の質の違いがあるとしても、建設需要の大幅な落ち込みは当面考え難く、その意味でも建設業経理士の需要も期待がもてると考えられます。
建設業界における建設業経理士の将来性
建設業経理士の将来性は、建設業界の今後の市場規模の動向に左右されるといえ、現状では、東京オリンピックやリニアモーターカーの関連工事などの大型工事で市場規模が大幅に減速することは考えにくいといえます。
しかも、各地のインフラの老朽化に伴い、解体工事や改修、インフラの再整備の工事発注は予想できます。
建設業界の市場規模の大きさから就労者数は多いものの、需要の高まりによる人材不足は各地でみられる傾向にあり、建設業会計の専門職である建設業経理士の需要も高まる可能性を秘めています。