建設業の会計処理は、一般的な企業で用いられる商業簿記や工業簿記とは違う建設業経理会計原則に基づいた会計処理がされます。
建設業は、工事期間が1年以上に及ぶ請負契約が多く、そのため通常の会計年度の1年間という単位での会計処理をする場合、未成工事支出金などの特有の費目の設定が必要です。
建設業界において、会計処理を適切に行えるための技量取得と、会計処理の公平性を保つために、建設業経理士という検定試験が実施され、4段階の級位によってその技量を認定しています。
各企業において、建設業経理士とよばれる2級取得者と1級取得者の在籍数は、公共工事入札の際の企業評価にもされるため、資格取得者と所属する企業の両方にメリットがあります。
建設業経理士2級を取得することのメリット
建設業関連の企業に従事している人はもちろん、建設会社への就職を目指す人にとっても、建設業経理士2級の取得は、自分の建設業経理の技量を第三者に示す客観的な材料となりますので、メリットがあります。
建設会社で実際に実務にあたる経理職の人であれば、業務で行うさまざまな会計処理の信用性を高める効果があり、資格があることで、任される業務範囲も広がります。
その結果として、各種手当や社内での評価向上にもつながることも、メリットです。
以前勤務していた建設会社では、建設業経理士2級を取得した際には、合格祝い金をもらったことがあり、他社では給与に手当がつくこともあると聞いたことがあります。
建設業経理士2級と1級は、所属する企業にとっても、工事受注の際のメリットがあるため、資格取得者に利益が還元される可能性があるわけです。
建設業経理士2級取得者を在籍させる企業のメリット
建設業経理士2級を取得する人のメリットは、前述のとおりですが、その人が所属する企業側にもメリットがあります。
建設会社が公共工事を受注する際には、見積りを出していくらで工事できるかの金額を「入札」で示し、競合他社の中で安価かつ適切な価格であることで落札する必要があります。
発注元となる自治体は、入札参加業者を客観的な判断材料で評価して依頼先を決定する必要があり、その判断材料となる「経営事項審査」の中に経理事務士の在籍数などの企業状況が含まれます。
工事を施工する技量が入札業者にあるかどうかの判断はもちろん、その工事の会計処理が適切に行われるかも審査されるわけです。
適切な会計処理がなされるかどうかの判断には、建設業経理士2級、1級の有資格者の存在は大きく、資格取得は個人だけでなく企業にとってもメリットとなります。
建設業経理士2級の取得者と所属企業にもたらされるメリット
建設業経理士2級の取得は、建設業界への就職を有利にし、実務を行なっている人には、その業務の信頼性の向上と各種手当の可能性が考えられ、メリットがあります。
建設業経理士2級の取得は、第三者に対して、建設業における会計処理の技量水準を適切に開示できる資格であり、その信頼性が企業にとっても有資格者を在籍させることで公共工事の入札の際の評価にもつながります。
建設業において、受注工事の施工技術の水準が重要であることはいうまでもないことですが、その工事の会計処理が適切に行われることも公共工事では特に重視されます。
そのため、企業が建設業経理士2級の資格保有者を在籍させることは、工事受注にメリットがあります。