建設業経理士の試験で出題される「すくい出し方式」とは?

建設業では、複数の会計年度にわたる工事が施行されることも多く、そのため一般的な会計処理と違う特殊なものとされ、建設業経理士という専門家が重宝されます。

建設業振興基金が実施する1級から4級の検定試験の合格者の中でも、最上位級の1級と2級の合格者が建設業経理士と呼ばれ、公共工事入札の経営審査事項の加点項目となります。

建設業経理士の検定試験では、日商簿記や全商簿記といった商業簿記の試験に準じた内容に加え、工業簿記の内容が付加された内容が出題されます。

その中でも、建設業経理士の検定試験で出題される「すくい出し方式」とは何か?また、会計処理方法などについて紹介します。

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建設業経理士の試験で出題される「すくい出し方式」とは?

建設業経理士の試験で出題される「すくい出し方式」とは、工事原価の費目計算の中での工事完了とともに撤去される共通仮説部分に関する会計処理の方法です。

共通仮説部分とは、いわゆる工事現場に使用される仮説の足場のことで、ある工事現場で設置して工事が終了すると回収し、一回で使い捨てにはしません。

そのため、工事で使用した時点において、その足場の取得価格の全額を材料費や仮説材料費という原価処理をし、工事完了時点で撤去する際、再利用が可能な資産価値を残している分を工事原価から控除するといった会計処理を行い、これを「すくい出し方式」と呼びます。

つまり、「すくい出し方式」とは、工事現場に投入した仮説材料のすべての金額を材料費に計上し、工事が完了した時点で回収した仮説材料の評価額を材料費から差し引くという仕分け処理を指しています。

建設業経理士が行う会計処理の特殊性

建設業経理士の検定試験では、「未成工事支出金」や「完成工事支出金」などの費目や材料費、労務費、外注費、経費といった原価に関連する費目がポイントとなります。

工事原価を会計期間や原価計算のサイクルなどに応じて分類して集計する会計処理が求められるため、費目別の計算は、財務会計とも密接に関連しています。

そのため、発生時点での会計計上を原則としながら、工事の個別性を確保するために、事前計上した仮説足場などから、別の現場でも利用可能な残存価値を「すくい出し方式」と呼ばれる会計手法で企業全体としての整合性をはかっています。

また、会社によっては「すくい出し方式」ではなく、材料購入のたびに材料在庫として貯蔵し、消費の際に材料費に振り替えるという処理を採用している場合もあり、その際には、材料の受払記録が残されます。

建設業経理士が行う「すくい出し方式」での原価計算

仮設材料の原価計算には、「すくい出し方式」と「社内損料方式」と呼ばれる方法があり、何を選択するかは企業や会社によっても違いますが、途中でコロコロ変えることはできません。

建設業経理士が行う「すくい出し方式」とは、ある工事現場で利用される仮説足場などを材料費や仮説材料費といった原価処理をし、工事が終了して撤去する際に残っている足場の価値を工事原価から差し引く会計処理の方法をいいます。

つまり、一回で使い切るわけではない仮設足場のような建設現場での道具を使用した分だけを、工事原価に計上するために行われる会計処理です。

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